嫌な人って思っていたけど
同僚に口の悪い男がいる。
本人は悪気がなくさらっと毒を吐く。
うちの会社はオブラートに包む人が多い中、彼の毒はたまに笑いになることもある。
ただ本人は笑いをとるためというよりは、ハッキリした性分のようで言い方がキツくて人によってはイラっとしてしまうようだ。
かくゆう私も彼からかなり失礼な発言をされたこともあるし、スコープ外の仕事は絶対しないという姿勢にイライラすることもあった。
たまに私を小馬鹿にするときに奥歯の銀歯がキラリと光る。その姿がワンピースという漫画に登場するアーロンにそっくりなのだ。
見ての通り凄い悪いやつだ。
どうやらアーロンは上司や同僚、取引先にもそのような態度に出ることがあるらしくいつもは温厚な上司だが、鬱憤が溜まっていたのだろう。はじめて声をあらげて叱っていた。
プライドの高い彼のことだ。叱られた後は暫くは不貞腐れているだろう。そして、きっとまた同じ事を繰り返し、注意され、嫌になって会社にも来なくなり辞めてしまうんじゃないかなぁ…
なんてな事を妄想しながらコンビニに行く途中アーロンにバッタリ出くわした。
いつもは素通りする事が多いのだが、この日はなんとびっくりアーロンが私に謝って来たのだ。
以前、失礼な発言をしてしまってすみませんと。しかも不貞腐れている感じではなく明らかにしょんぼりし、反省している様子だ。
あまりのしょんぼり加減に思わずアーロンを…イヤこの時は、アンパンマンにコテンパンにされたバイキンマンを慰めてしまったほどだ。
人ってわからない。
と同時に私が彼に対して妄想していたのは、自分がそうだからなんじゃないかなと思った。
私ならあんなに叱られたら、しょんぼりどころかかなり不貞腐れている。というか、午後休取って帰るだろう。保身の為、皆が敵になりその場にいるのがいやになり辞めてしまうだろう…
あの妄想は全部自分だと思う。私は結構自分がすることを相手もそうだと思いがちだ。気を付けようと思った。
そして年々自分の非を認めるのに抵抗を感じるようになってきているところだったので、なおさら私より一回り上の彼にびっくりした。
嫌な人と思っていたけど、そういった意外な一面をみるとなんだか親近感をもちますね。
いいところもあるんだなと。
だいぶ上からですが(笑)